DDoS対策CDN vs DDoS対策IP 実戦比較:どちらがあなたのビジネスに適しているか?
DDoS対策CDNとDDoS対策IPの実践的な比較分析。それぞれの仕組み、長所と短所、適切なユースケースを掘り下げ、ウェブサイト、API、ゲームなどのサービスがより適切なセキュリティ対策を選ぶための手助けをします。
DDoS対策CDNとDDoS対策IPのどちらを選ぶかで迷っているなら、それはあなたのサイトが「攻撃されるかどうか」の段階ではなく、「どうやってより長く耐えるか」の段階に来ているということです。
私は十数年にわたり、サイバーセキュリティとDDoS対策に携わってきましたが、次のようなケースを数多く見てきました。
- 高価な対策IPを導入したのに、サービスがまだ重い。
- CDNを導入して万事解決と思ったら、攻撃でまっすぐオリジンサーバーに貫通された。
- 両方導入した結果、構成が複雑になり、費用もかさんだのに、効果は今一つ。
ですから、この記事では「定義」からではなく、実際の使用シーンから、はっきりと一言で説明します。
DDoS対策CDNとDDoS対策IPに、どちらがより優れているということはありません。あなたの現在のビジネスにどちらがより適しているかだけです。
1. DDoS対策CDNと対策IPは、結局何を防ぐのか?
ごく簡単にまとめると:
- DDoS対策IP:
👉 サーバーへのトラフィック攻撃を防ぐことに重点。 - DDoS対策CDN:
👉 サービスへの入口(エントリーポイント)へのトラフィック攻撃を防ぐことに重点。
似ているように聞こえますが、実際の攻撃においてその差は非常に大きいものです。

2. DDoS対策IPとは?どんな人・サービスが使うべき?
1️⃣ 対策IPの本質(わかりやすく言うと)
その仕組みはシンプルです:
- あなたに専用のグローバルIPアドレスが割り当てられます。
- すべてのトラフィックはまずこのIPへ向かいます。
- その背後には、不正トラフィックを「洗浄」する専用設備/クラスターが待ち構えています。
- 「洗浄」された正常なトラフィックのみが、あなたの実際のサーバーへ転送されます。
その核心的な特徴は、次の二語に集約されます:
単一入口。専用。
2️⃣ 対策IPの実際のメリット
実戦的な観点から、対策IPにはいくつかの明確な利点があります:
① 構成がシンプルで、直感的に理解しやすい
- 単一のIP
- 単一の保護経路
- 問題の切り分けや特定が容易
② 「Web以外のサービス」に非常に親和的
例えば:
- ゲームサーバー
- TCP/UDPサービス
- 独自プロトコル
- インスタントメッセージング
これらのケースでは、CDNは基本的に役に立ちません。対策IPが必須となります。
③ 攻撃モデルが明確
攻撃者は基本的に一つの標的を狙います:
👉 このIPを執拗に攻撃する。
洗浄ポリシーもより直接的です。
3️⃣ 対策IPの弱点(多くの人が使い始めてから気づく)
率直に申し上げます。
① 単一点障害のリスクが非常に高い
どれほど高価な対策IPでも、本質的には一つの入口です:
- 防御上限を超える攻撃が来た場合
- 巧妙な標的型攻撃を受けた場合
👉 「崖っぷちからの転落」のように一気に失敗します。
② アクセス速度の問題は解決しない
対策IP ≠ 高速化
サーバーが遅いなら、そのまま遅いのです。
③ コストは低くなく、かつ「固定費用」
- 防御能力が高いほど、価格も高くなる
- 攻撃がなくても、利用しなくても、同じ料金を支払う

3. DDoS対策CDNとは?なぜ選ぶ人が増えているのか?
1️⃣ 対策CDNの核心となる考え方
対策CDNのアプローチは、対策IPとは全く異なります:
- 単一の入口を提供するのではなく、
- ネットワークそのものを提供します。
- ユーザーは最寄りのノードにアクセスします。
- 攻撃トラフィックは分散、吸収、洗浄されます。
一言で言うと:
「攻撃される」ことを「攻撃しにくく」する。
2️⃣ 対策CDNの実際の強み(宣伝文句ではありません)
① 生来のDDoS耐性
なぜなら:
- 多数のノード
- 多数の入口
- エニーキャスト / インテリジェントなトラフィックルーティング
攻撃者は、対策IPを狙うように一点に集中火力を浴びせることが難しくなります。
② 「セキュリティ + 高速化」を同時に解決
これがCDNの最大の現実的価値です:
- 防御
- 高速化
- キャッシュ
- オリジンサーバー負荷の軽減
③ Webサービスに極めて親和的
例えば:
- コーポレートサイト
- ECサイト
- API
- SaaSプラットフォーム
- コンテンツサイト
これらのサービスは、もともとCDNアーキテクチャに適しています。
3️⃣ 対策CDNの実際の短所(知らないと足元をすくわれる)
① 設定が適切でないと、やはりオリジンに貫通される
もしあなたが:
- オリジンサーバーのIPを隠蔽していない
- オリジンへのアクセスを制限していない
- 適切なファイアウォールルールを設定していない
攻撃者はCDNを迂回して直接オリジンサーバーを攻撃します。CDNは無意味になります。
② すべてのCDNが本当に「高防」というわけではない
いわゆる「高防CDN」の中には:
- 実際の防御能力が限られているもの
- 大流量攻撃に遭遇すると速度制限やサイト停止を行うもの
4. 実戦比較:DDoS対策CDN vs DDoS対策IP
次の部分は、最も真剣に読んでいただきたい内容です。
1️⃣ DDoS耐性の比較
| 比較項目 | DDoS対策IP | DDoS対策CDN |
|---|---|---|
| 大規模トラフィックへの耐性 | 上限あり | 分散型、弾力性に優れる |
| CC攻撃への耐性 | 普通 | より優位 |
| 標的型攻撃のリスク | 高い | 低い |
| 単一点障害 | あり | なし |
👉 攻撃が大規模で分散的であればあるほど、対策CDNの優位性が高まります。
2️⃣ アクセス体験の比較
| 比較項目 | DDoS対策IP | DDoS対策CDN |
|---|---|---|
| 高速化 | ❌ | ✅ |
| 最寄りアクセス | ❌ | ✅ |
| 海外からのアクセス体験 | 普通 | 明らかに良好 |
👉 ユーザー体験を重視するなら、対策IPでは要件を満たせない可能性が高いです。
3️⃣ 運用と長期的コスト
| 比較項目 | DDoS対策IP | DDoS対策CDN |
|---|---|---|
| アーキテクチャの複雑さ | 低い | 中程度 |
| 拡張性 | 低い | 高い |
| コストモデル | 固定 | 従量/弾力的 |
| 長期的コストパフォーマンス | 普通 | より優れる |

5. 実際のビジネスシーンでは、どう選ぶべき?
遠回りはせず、シーン別に直接お伝えします。
✅ シーン1:Webサイト / API / SaaS
推奨:DDoS対策CDN
理由はシンプル:
- もともとCDNに適している
- 攻撃はHTTP/CC攻撃が主流
- 高速化と防御を同時に解決する必要がある
✅ シーン2:ゲーム、UDP、独自プロトコル
推奨:DDoS対策IP
理由:
- CDNではこの種のトラフィックを基本的に転送できない
- 対策IPが唯一の現実的な選択肢
✅ シーン3:攻撃頻度が高く、サービスは常時安定必須
推奨:対策CDN(メイン) + 対策IP(フェイルオーバー)
多くの成熟したチームが実際に採用している方法です:
- 平時はCDN経由
- 極端な状況では対策IPに切り替え
- コストと安全性のバランスを取る
6. 多くの人が見落とす真実:プロダクトよりアーキテクチャが重要
率直に申し上げます:
防げないケースの90%は、プロダクトの問題ではなく、アーキテクチャの問題です。
よくある失敗ポイント:
- CDNでオリジンIPを隠蔽していない
- 対策IPの前後のネットワーク経路が混乱している
- DNS切り替え戦略が誤っている
- 「購入したから安全」と思い込んでいる
どのソリューションを選ぶにせよ、次の一言を覚えておいてください:
防御とはシステムエンジニアリングであり、サービスを買えば終わりというものではありません。
7. 経験者からの選定アドバイス
詳しく分析するのが面倒なら、以下の点だけ覚えておけば十分です:
- Web / API:まずは対策CDNを優先
- ゲーム / UDP:対策IPしか選択肢なし
- 持続的攻撃が心配:単一点より分散型を選ぶ
- 「無制限防御」を盲信せず、まずアーキテクチャを確認
- 予算が限られている:対策IPに盲目的に飛びつくより、CDNを正しく設定せよ

8. 最後に
DDoS対策CDNとDDoS対策IPは、対立関係ではなく、異なる段階のためのツールです。
選び方を間違えるのは、技術が分からないからではなく、
誰もこれらの実際の使用上の違いを教えてくれなかったからです。
もしよろしければ、次は以下のような内容でお手伝いできます:
- 「対策CDN + 対策IP ハイブリッド構成実戦ガイド」を解説
- 「対策CDN よくある失敗事例」を特集
- あなたの具体的なビジネスに合わせた防御アーキテクチャの考え方を提案
お声がけいただければ、続けます。
よくある質問(FAQ)
1️⃣ 通常のCDNとDDoS対策CDNの本質的な違いは?
通常のCDNは主に高速化が目的で、防御はおまけ程度。
対策CDNはまず攻撃に耐えることを考え、その上で高速化を図り、大規模な洗浄能力、CC攻撃対策、ポリシー連携が核心です。
一言で:
👉 通常のCDNは組織的な攻撃に耐えられず、対策CDNは「攻撃に耐える」ために設計されています。
2️⃣ 対策CDNを導入すれば、対策IPは不要?
必ずしもそうではありません。
- 純粋なWeb/APIビジネス:多くの場合、不要
- ゲーム、UDP、独自プロトコル:やはり対策IPが必要
- 長期的に標的とされるビジネス:両者を組み合わせて使用するケースも多い
👉 対策CDNは「万能の代替品」ではなく、Webシナリオにより適しています。
3️⃣ 対策IPの防御能力は、必ず対策CDNより強い?
必ずしもそうではなく、多くの場合逆です。
対策IPの問題点:
- 単一IP、単一入口
- 防御力に明確な上限あり
- 集中攻撃で突破されやすい
一方、対策CDNは複数ノードで分散して攻撃を吸収するため、超大規模DDoS攻撃下ではむしろより安定します。
4️⃣ なぜ対策CDNを導入してもダウンするサイトがあるのか?
主な理由は次の3つです:
- オリジンIPが隠蔽されていない(直接攻撃される)
- オリジンアクセスポリシーに制限がない(CDNを迂回される)
- 「偽物の対策CDN」を選んでいる(ノード数が少ない、防御力が弱い)
👉 CDNが役に立たないのではなく、使い方が間違っているのです。
5️⃣ 対策CDNはCC攻撃を防げるか?
はい、防げます。そして通常、対策IPよりCC攻撃対策に優れています。
理由はシンプル:
- CDNはユーザーに近い位置にある
- 完全なHTTPリクエスト/レスポンスを把握できる
- アクセス頻度、ユーザーエージェント、パスなどに基づいて判断できる
ただし、前提条件として:
👉 成熟したCC攻撃検知とポリシーシステムが必要です。「単なる速度制限」ではありません。
6️⃣ 対策IPはアクセス速度向上にも寄与するか?
基本的に、しません。
対策IPの役割は:
- 攻撃を防ぐこと
- ダウンさせないこと
それは高速化や最寄りアクセスには責任を持たず、速度は主にサーバーの立地と回線品質に依存します。
7️⃣ 中小規模のサイトも最初から対策サービスが必要か?
場合によりますが、私のアドバイスは:
- 通常トラフィック段階:通常CDN + ベーシックな防御
- スキャン/攻撃を受け始めた段階:対策CDNにアップグレード
- 長期的に標的にされている段階:その時点で対策IPまたはハイブリッド構成を検討
👉 防御は段階的に行うもので、一気にすべてを導入するものではありません。
8️⃣ 対策CDNはSEOに悪影響を与えるか?
適切に設定された対策CDNはSEOに悪影響を与えず、むしろ改善する可能性があります:
- ページ読み込み速度の向上
- 安定性の向上
- ダウンタイムリスクの低減
SEOに実際に悪影響を与えるのは:
- 頻繁な5xxエラー
- 攻撃時のダウン
- 誤ったリダイレクトやキャッシュ設定
9️⃣ 対策CDNは必ず対策IPより安いか?
必ずしもそうではありませんが、通常コストパフォーマンスはより優れています。
- 対策IP:固定コスト、専用リソース
- 対策CDN:従量課金/弾力的課金、防御能力の共有
Webビジネスにとって、同じ予算であれば、対策CDNの方が通常、より長く攻撃に耐えられます。
🔟 対策CDNと対策IPを同時に使う必要はあるか?
以下のような状況に該当するなら、必要です:
- 攻撃が頻繁で、持続時間が長い
- 攻撃タイプが複雑(DDoS + CC攻撃の混合など)
- サービスを中断できない
一般的な方法:
- フロントエンド:対策CDNでトラフィックを処理
- バックエンド:最悪の事態に備え、対策IPをフェイルオーバーとして準備
1️⃣1️⃣ DDoS対策ソリューション選定で、最も見落とされがちな点は?
防御能力ではなく、------オリジンサーバーの露出度です。
多くのサイトが:
- 高価な防御サービスを購入する
- しかし、GitHub、メールヘッダー、ログなどでオリジンIPを露出させている
👉 オリジンをしっかり隠さなければ、どんな防御も無駄になります。
1️⃣2️⃣ 結局、どちらを選ぶべき?
最も実用的なまとめをお伝えします:
Webビジネスなら、まず対策CDNを優先。
非Webサービスなら、対策IPしか選択肢なし。
長期的・集中的な標的なら、両者を組み合わせる。
マーケティングの言葉に踊らされないでください。
あなたの現在の段階に適したソリューションを選ぶことが最も重要なのです。
Share this post:
Related Posts
中国移動のCDNブロックを回避することは可能か?なぜ一部のCDNは使用開始と同時にブロックされるのか?
中国移動のCDNブロックを回避することは可能か?本記事では、中国移動によるCDNブロックの根本的な原因を深...
中国リージョンにおける主要CDNアクセラレーションサービスプロバイダーTOP5選
中国リージョン向けCDNサービスはどう選ぶ? 本記事では、中国本土からのアクセス速度、ノードカバレッジ、...
中国向け高防御CDNと高防御サーバー、どう選ぶ? 実践ガイド
中国向けの高防御CDNと高防御サーバー、その根本的な違いは? 防御原理、DDoS洗浄方式、CC攻撃対策、コスト...